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ヒッチハイカーを乗せる。そして泊める。その①
ヒッチハイカーを乗せる。そして泊める。その②
ヒッチハイカーを乗せる。そして泊める。その③
ヒッチハイカーを乗せる。そして泊める。その④
の続き。

ヒッチハイカー山本君、一泊後の朝。

山本君「いってらっしゃい」

なんか、知らない人が我が家で旦那を送り出すという、奇妙な光景(笑)
いち父は「い…いってきます。じゃ、山本君も気をつけて」
と、未だに意図が飲み込めないような顔で出勤。

時間が有り余っている山本君と私たちは、ゆっくり朝食を食べながら、これからの事を話す。

山本君「今夜7時に大学に到着したいんですけど、まだ時間がありそうなんです。長野の善光寺や安曇野のわさび農園に行ってみようか、と」

「今日、上田まで行く用事があるからそこまで送るよ。暇だから、長野くらい行ってもいいけど、山本君も色んな人の車に乗りたいだろうし」

どこで降ろしたら楽かな?と聞くと、山本君は呑気に「どこでもいいっすよー」と、適当に言った。
それは気を使っている、というより、本当にどこに降ろされても、次、車を捕まえる自信があるからだとわかった。
「さて、では出発しますか」

ゆっくりした朝食を終え、洗っておいた洗濯を渡す。
すると、山本君は大きなスケッチブックを差し出して、
「一言メッセージをお願いします」と。
乗せてくれた人みんなに写真と、このメッセージをお願いしているらしい。
前のページをチラッと見てみると、
『若いうちに色んな経験をしろ!』とか、
『将来辛くなったら、この旅を思い出せ』みたいな事が書いてある。
私は何を書こうか…と、迷ったけれど、人生諭すのも照れくさいので、
泊ってくれて楽しかった、ありがとう、位しか書けなかった。
娘が派手に落書き(デコレーション)してくれたので、まあまあ様になった。





上田まではあっという間についた。

山本君「本当にお世話になりました」
国道沿いのコンビニ。
車から降りた山本君は若干はにかむ様に小さく笑った。

…今更だけど、今回の一泊で一番緊張感を持っていたのは山本君だったのかもしれない。

少し不思議な空気が流れるこの別れの場面で、なぜか、ふと、そんな気がした。
そして、なんだか「田舎に泊まろう」の別れの場面も同時に思い出し、
一泊でも奇妙に情は移るものだな、と変に冷静に分析した。

山本君「あの…本当にありがとうございました」
俯き加減で、目を合わさない山本君。
昨日雄弁に色々語っていた姿とはちょっと違って、ちょっぴり幼く見えた。

「残り少ないけど…良い旅を」
出来るだけ大人な感じにニッコリ笑ってみた。
何か言っておきたい事がある気もするけど、
彼の感じた事が全てだ、と思うと、そう多く声をかけなくてもいい気がする。

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(さようなら、山本君)




山本君と別れた後、
仕事中のはずのA子からメールがきた。

『すーさんは無事に旅立った?』

疲れていたので、メールの返信は脱力。一言『行った。』とだけ返信した。


その後山本君が無事帰った話は、次回。
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