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先日友人A子といち達と、軽井沢に出かけた時の事。
日が沈みかけた帰り道、車でコンビニに立ち寄ると、
なんとヒッチハイカーがメッセージボードを掲げているのを発見。

「学生ヒッチハイク 日本一周  長野(まで)」

一見して学生とわかる爽やかそうな彼。
見かけた瞬間、助手席のA子と「乗せてやろう!乗せてやろう!」と盛り上がったのです。






学生ヒッチハイカー、山本君。
隣県の大学生の彼は、単位取得も就職活動も終え、今は余った時間をヒッチハイクの旅に当てているそう。
五十数日にも及んだ旅は実は明日まで。明日の夜のサークルの集まりにゲリラで帰って驚かす為、長野で観光して時間を潰しているらしい。

私は前々からこういう事をする人に興味があったので、車中聞く山本君の話が、本当に楽しかった。
娘も突然の同行者に興味深々。A子は

A子「いや~、ヒッチハイクしている人って、髭モジャモジャで疲れたイメージだったけど、全然違うんだね~」

テンション高めに山本君を見つめる。
確かに彼は清潔感のある印象で、シンプルなウインドブレーカーの下にはサッカー日本代表ユニフォーム。
大きめのバックパックと丸めたクッションシートでかろうじて旅人の雰囲気を醸し出しているけれど、
ニコニコ笑顔は長旅の疲れを感じさせない。
長身、短髪、はにかむ若々しさ。
付き合いが長いからわかる。山本君はA子好みのイケメンだった。


山本君は車内で、これまでの旅の写真を見せてくれた。

山本君「先日はここに泊ったんです」

運転しながらチラ見すると、なんと、高架下に小さなテント。
「えー!こんなところで野宿?!」
と、思わず『こんなところ』呼ばわり。
山本君「あ、野宿だけじゃないです!ゲストハウスに泊ったり、時々は泊めてもらったり…」
「二日に一回はお風呂にも入ってます」と、付け加えた。

「今日は?!今日はどうすんの??!!」
折しも、夕方の軽井沢。
温度計は12度だけれど、小雨が降っているので体感温度は更に低い。
いや~、どうにかなるかるものですよ…、と、山本君は呑気に笑った。
長野の寒さをナメてる気がして、人ごとながら心配だ。
すると、テンションそのままのA子が叫んだ。

A子「えー!!じゃあ、いち母の家に泊めてもらえばいいじゃん!!」

うちですか?!A子、家主に許可を得てから発言しろよ…。
私が何か言う前に、山本君は遠慮がちに俯いた。
「いえ、乗せてもらえただけで、ありがたいです。そんなご迷惑は…」

本人に申し込まれた訳でもないのに、ここで私が断るのは何か筋が違う気がして話を変えてみる。

「いやさー、でも、そういう野宿をポリシーとして、楽しんで旅しているかもしれないし…」

山本君「正直言っていいですか。ありがたい話です。でも、ご迷惑ですし…」

……

いっそ、「頼む、泊めてくれ」と言ってくれ。反射で断れるかもしれない。
子犬の様な視線が背中を突き刺す…





「あー…  山本…。     
       …泊っていくか?!!!」


最終的に自分のノリの良さを呪って、
青年一人、宿泊決定。


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(つづく)





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